●無痛虫歯治療を実現するカリソルブ、マイクロプレップ
●歯科分野でも威力を発揮するレーザー治療
●半導体レーザーを使った切らない無痛インプラント
●歯科の無痛治療に欠かせない麻酔&鎮静法
今までインプラントについて説明してきましたが、インプラントの周辺技術の進歩の目覚ましいものがあります。従来の歯科治療へのイメージは、“痛い”“怖い”というものでした。実際には麻酔をするので、それほど“痛い”ということはないのですが、ドリルで歯を削る音と振動によって“恐い”というイメージが増幅されてしまうのでしょう。そこで、“痛い”“恐い”というマイナスイメージを払拭する画期的な技術が開発されています。
現在、注目を浴びているのが
無痛虫歯治療薬のカリソルブ
です。カリソルブは次亜塩酸ナトリウムと3種類のアミノ酸が含まれた薬剤で、虫歯に数分間塗るというスウェーデンで開発された治療法です。薬剤によって虫歯に侵された部分が溶解するので、それを掻きだして、プラスチック系の充填剤を詰めれば治療は完了します。
治療時間は1本の歯に15分程度です。
カリソルブは虫歯部分を削る
ドリルを使わないので、不快な音や振動がなく、恐怖感を感じない
で済みます。
麻酔なしででき、虫歯周辺の健康な部分まで削らないでいい
などのメリットがあります。また、アメリカで開発されたマイクロプレップ〈ジェット噴射式エア・アブレーシブ(研磨)システム〉も“痛い”“恐い”という恐怖感を取り除くのに有効な機材です。
マイクロプレップは50ミクロンという超微細な酸化アルミニウム粒子を圧縮空気によってノズルからジェット噴射して、歯面の加工、処理を迅速に行います。
従来は2万回転ほどの高速エアタービンを使用していましたが、摩擦熱、振動、切削音が伴うため“痛い”“恐い”というイメージから逃れられませんでした。しかし、マイクロプレップなら摩擦熱も振動もありません。酸化アルミニウム粒子はタバコの煙よりも小さく目には見えないほどですが、治療中にバキューム器具で吸引するので、患者様への影響はまったくありません。
カリソルブやマイクロプレップは保険対象外の治療で、虫歯の除去から詰めものまで1歯1万円程度が目安です。
現在、これらを導入している歯科医院は数少ないのですが、「紀尾井町プラザ歯科」では以前から導入し、好評を得ています。
レーザーは光の波長が太陽光線と同じで、特定の方向に誘導します。また、特定の色に反応し、大部分が熱に変換されます。体内の水分や血液には影響がなく、レーザーを当てた部分にだけ科学変化を起こさせるというのが最大の特徴です。この性質を利用したレーザー治療は、人体に対する安全性が立証されていて、
妊娠中の方やペースメーカーを使用している方への影響もまったくない
と言われています。医療分野ではガン治療、脳梗塞、心筋梗塞などに広く使われています。歯科でもレーザー治療が取り入れられており、
歯根の治療、虫歯治療、歯槽膿漏の治療、口内炎・口角炎の治療、歯のホワイトニングなどに大きな効果をもたらしています。
歯科におけるレーザー治療の効果は、大きく分けて2つあります。
麻酔効果を助ける働きと治療を促進する働きです。
麻酔効果を助ける働きについては、レーザーは無痛治療に欠かせないものとなっています。局所的な塗布麻酔だけでは、ちょっとした痛みを感じる場合もありますが、その後レーザー麻酔を併用すれば、麻酔の使用量は10分の1程度で済みます。
レーザーの麻酔作用のメカニズムについては、まだ解明されていません。私の知人であるレーザー研究の第一人者、日本歯科大学名誉教授・古本啓一先生のお話では、レーザーの温熱作用によって血行がよくなり、神経の周りの老廃物が除去されて一時的に痛みがなくなるという説が有力で、光化学作用によるという説や電磁波の作用によるとする説などがあるそうです。
治癒を促進する働きでは、レーザーは口腔内のどのようなところにも届くので、歯根の消毒などきめ細かな治療も1回の診療で終了します。また、レーザーの光を当てることで熱が発生し、その熱によって菌が増殖している水分を蒸発させることができます。このレーザーの蒸散作用によって、歯根治療や歯槽膿漏の治療が通常よりも早くすみ、効果も上がります。蒸散作用により殺菌効果があるので、感染などの心配がありません。したがって抗生物質の投与の必要もなくなります。
その他、治療で必要な部分をレーザーで切開します。メスで切開するのと違い、骨が空気に触れないので、骨の収縮がありません。出血を抑える効果もあり、小さな出血なら止まることもあります。それだけ体への負担が少なくなるということです。
医療用レーザーには炭酸ガスレーザーやYAG(ヤグ)レーザーなどがありますが、歯科用レーザーとして最新のものは半導体レーザーです。
半導体インプラント治療に使用した場合のメリットは、
次のようなことが挙げられます。
・
半導体レーザーの威力でインプラント埋入部だけに穴を開けることができます。
・
歯肉の切開や剥離をしないので縫合もなく、手術時間が従来の半分程度で済みます。
・
切開や剥離をしないので出血もなく、傷の治癒が早くなります。また、レーザーの細胞組織活性作用で、インプラントと顎も骨が早くつきます。
歯科で使用される麻酔、鎮静法は主に以下の5通りです。
※鎮静法とは、意識を失わせることなく恐怖心や不安感や緊張を和らげる方法です。
1.表面麻酔
歯肉の表面に液状、あるいはジェル状の麻酔を薬塗布して麻酔する方法です。歯科では注射針の痛みをやわらげるために使用します。
2.浸潤麻酔
麻酔薬を注射することで浸潤した部分が麻痺される方法です。歯科では歯を削るときや簡単な外科処置など、一般的な治療で使用する麻酔方法です。歯肉に麻酔薬を注入すると、歯の周辺の組織に浸透していき、歯の痛みを感じなくなります。この時使われる注射針は、一般の筋肉注射などに使われるものの半分程度の太さで、針を刺す痛みは最小限に抑えられています。
3.伝達麻酔
神経の元に麻酔薬を入れて、広い範囲を同時に麻酔する方法です。多数の歯を同時に治療する場合や、親知らずの抜歯などに使われます。例えば下顎の骨に入る神経に麻酔をすると麻酔をした側の奥歯から前歯まで麻酔が効きます。また、麻酔の持続時間も長いのが特徴です。
4.笑気鎮静法
笑気とは亜酸化窒素のことで、全身麻酔に使用される麻酔ガスの一種です。鼻から吸入するもので、麻酔作用はあまり強くなく、特に鎮静法は20〜30%の低濃度なので意識を消失することはありません。恐怖心や不安感が薄れ、周囲のことが気にならなくなるので、痛みを感じにくくなります。副作用もほとんどなく安全ですが、鼻から吸入するため呼吸器疾患のある方は担当の歯科医師に相談をしてください。
5.静脈内鎮静法
静脈内鎮静法とは、点適法により生体へ害のない鎮静薬を投与する方法です。歯科治療に過度の恐怖心をお持ちの方、親知らずの抜歯やインプラントの手術、嘔吐反応が強い場合や成人病の方などに用います。鎮静している間は安らかな気持ちになり、さらに痛みなどの不快な記憶も和らげられ、ストレスのない円滑な診療が受けられます。処置中はモニターにより専門医が全身状態を管理しますので安全です。また、完全に意識がなくなる全身麻酔とは異なりますのでその日のうちに帰宅でき、お食事の制限もありません。ただし心疾患などをお持ちの方は担当の歯科医師に相談をしてください。
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